企業組織はさまざまな部門によって成り立っています。「営業」や「開発」などの職能別部門はもちろん、「国内事業」や「海外事業」といった事業別の部門が存在する会社もあるでしょう。

そして、各部門同士が上手く連携できれば、組織全体の生産性向上や、単一の部門では生み出せなかった価値の創出ができます。 しかしながら、部門間連携が上手くできず、悩んでいる企業は少なくありません。
いったいなぜ、部門間連携は上手くいかないのでしょうか。そして、部門間連携はだれがどのように進めるべきなのでしょうか。

なぜ部門間連携が必要?

そもそもなぜ、企業経営に部門間連携が必要なのでしょう。

先述したとおり、多くの企業は職能や事業ごとに部門を組み、ビジネスをおこなっています。部門ごとに担当する領域を分けることで、各部門の専門性を高められます。部門ごとの組織力を高めることで、企業全体の生産性向上や、利益増大に貢献しやすくなるという声をよく聞きます。

しかし、専門領域の分化は弊害も生みます。ある業務における専門性は高められても、ほかの業務については知識がないため、ほか部門の考え方に対する理解不足による衝突が発生しやすくなります。また、幅広い業務に対応しにくいといった弊害が生まれることもあるでしょう。

では、部門間で連携が取れていないと具体的にどのような問題が生まれるのでしょうか。たとえば、同じ製品に携わっている営業部門と開発部門がいるとします。一人ひとりの営業は、自分が担当している顧客の要望に応えるため、開発部門に日々改善要望を出します。
一方で、開発部門にはそうした改善要望が多方面から山のように届きます。リソースが限られているなか、すべての要望に応えていくことは困難です。また、開発部門からすると、営業が目の前にしている顧客の要望に応えるより、中長期的な視点での開発にリソースを割きたいかもしれません。

上記のように、部門が異なれば置かれている状況や見ている視点も変わってきます。部門間で上手く連携が取れていない場合、事業全体の方向性がブレたり、部署間に感情的な軋轢が生まれたりする恐れもあるでしょう。

部門間連携のメリット

では、反対に部門間連携が上手く取れている場合、どのようなメリットがあるのでしょう。

1. 組織全体の生産性向上

まずひとつ考えられるのは、組織全体の生産性向上です。前項では、部門ごとに視点が異なることで生じやすい軋轢の例を紹介しました。
反対に、各部門が自分たちだけの利益ではなく、他部署を含めた会社全体の利益を考えられるようになると、自然と部門同士がお互いを補完し合うことで、会社組織全体の生産性が向上してくるでしょう。

たとえば、先の営業部門と開発部門の例の場合、営業側が開発側の計画をタイムリーに把握できていれば、商談の際に顧客へ有力な情報を適切なタイミングで届けられます。そうすることで、営業が顧客提案のなかで知り得た新たなニーズや、製品に対するフィードバックを開発に伝え、今後の開発計画に生かすということもできるかもしれません。
また、両部門の間に良好な関係性が築けていれば、商談を進めるなかで営業部門だけでは解決できない技術的な課題があったとき、開発部からのサポートを得られやすくなるでしょう。
上記は一例ですが、このように部門同士が互いを補い合う関係性をつくることで、事業全体の業務を効率化することができます。


2. イノベーションの創出

部門間連携のメリット二つ目は、イノベーションの創出です。
そもそもイノベーションというものは、似た者同士の集まりからは生まれにくいものです。同じような考え方や能力を持った人たちではなく、異なるバックグラウンドを持った人たちが見識をぶつけ合うことで、新しい発見や発明は生まれやすくなります。

企業のなかの各部門は、その組織における特定領域の専門家集団です。そうした異なる知識や考え方、情報を有した人たちが頻繁にコミュニケーションを取り合うことで、ビジネスを前進させる思いもよらない発見が導けるかもしれません。

部門間連携が上手くいかない理由

前項では、部門間連携によるメリットをお伝えしてきました。
しかし、実際に部門間連携が上手くいっている企業は多くありません。実際に2021年にHR総研が実施した調査によると、7割以上の企業社員が部門間の連携に課題を感じていると回答しています。
なぜ部門間連携は上手くいかないのでしょうか。
主なポイントを以下にまとめてみましょう。

参考:HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2021 結果報告

1. 部門間連携に積極的な人/できる人がいない

まず考えられるのは、部門同士の連携に積極的な人、能力的に長けた人がいないということです。

部門同士の連携は、概ね部署や会社のトップの人が鍵になります。しかし、組織の上層部の人たちの間で部門間連携の重要性が認識されていないと、ほかのメンバーにも連携の意義が伝わりにくく、部署同士をつなぐ動きも生まれないでしょう。

2. 部門間連携を阻む制度や風土がある

組織の制度や風土が部門間連携を阻んでいる、というパターンも考えられます。
たとえば、情報漏洩の防止策として、特定部門と他部門のやり取りが制限されていることもあるでしょう。人事部が扱う機微情報などはその例です。部門同士の交流から不必要な情報が漏れないように、部署間のコミュニケーションが厳格に制限されている場合もあります。
また、組織がそもそも縦割り型で構成されており、他部署との交流が推奨されていない場合も考えられます。

3. コミュニケーションの機会が少ない

組織の側から交流を制限されていなくても、他部署と接する機会がな無い、という場合も考えられます。他部署とコミュニケーションを取らずとも、自部署内で業務が完結してしまえば、部門同士で連携する意義や意欲は社員に浸透しにくいかもしれません。

部門間連携を上手く進めるには?

では、部門間連携を促進するには、どうしたら良いのでしょう?

前項の説明に則れば、まず部門や組織をまとめるトップが、部門間連携の効果と意義を認識し、積極的になることが重要でしょう。そのうえで、会社やチームの方針として連携の重要性を説き、社内にも他部署と交流していく必要性やムードを浸透させることが効果的です。
組織のなかに他部署と連携していく風土が浸透してきたら、実際に部門間で交流する機会を創出していくことも必要です。会社によっては、全社イベントや社員旅行、合宿を実施しているところもあります。コロナ禍で実際に集まってなにかをおこなうのは難しいかもしれませんが、オンラインでも社員同士が交流する機会は創出できるでしょう。

対面でのコミュニケーションの他に、社内報を使って一体感を醸成していくやり方もあります。特に、リアルな場での交流が難しい昨今、Web上にあるビジネスチャットやポータルで部署ごとの情報が可視化されれば、部門ごとの溝が埋まり、連携が促進されるかもしれません。
部門間連携を促進するには、まず組織のなかに風土をつくってから、交流の機会を創出していくことが有効です。
全社、部門間の情報共有・コミュニケーションを円滑にする5つのポータル

部門間連携の度合いを測る7段階のコミュニケーションレベル

コミュニケーションには7つのレベルが存在し、仕事の質の変化に影響するのはレベル4以上となります。レベルを上げるための仕組み・仕掛けを作ることが大切です。

コミュニケーション7つのレベル


この記事が部門同士のコミュニケーションに悩まれている方のお役に立ち、次のアクションへのきっかけとなったら幸いです。
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執筆者
鈴木(すずき)
株式会社ドリーム・アーツ 協創パートナー推進本部 EL2グループ

ドリーム・アーツ入社後、SmartDBのカスタマーサクセスを担当。プロジェクト型のサービス導入支援に従事し、大企業の業務DXに伴走。2021年より、InsuiteXの販売・導入支援も担当。