今回は、ドリーム・アーツの考え方や「InsuiteX」のコンセプト、全社ポータルについてご紹介します。社員同士の意識共有やコミュニケーション、情報共有に課題をお持ちの方はぜひご覧ください。

会社としてのあるべき情報とコミュニケーション環境とは?

会社としてのあるべき情報とコミュニケーション環境を改善したいと考えても、多くの会社では、「全社横断の情報とコミュニケーションの整備を執り仕切る役割がない」ということや、「スケールが大きすぎて状況を俯瞰して考えることが難しい」、という状況に直面していることが多く見られます。
これらの難しい状況を、仕組み(ITツール)と進め方(プロジェクト推進)の両面でお客さまと一緒に解決することを、ドリーム・アーツは得意としています。

会社としてあるべき情報とコミュニケーション環境とは?

社内コミュニケーションは3階層で構成される

ドリーム・アーツが社内コミュニケーションに長年携わった経験から、この領域は立体的に捉えると理解しやすいということが分かりました。社内コミュニケーションとは「発信者と受信者の立場や役割」×「伝える対象組織」×「伝える内容」×「伝える手段」の無数の要素の掛け合わせで飛び交うものです。これを一面的に捉えようとすると無理があるので、単純化しても3階層に分けて考える必要があります。

1.全社の階層

ここのコミュニケーションの最も重要な目的は「全社のベクトルを揃える」ことです。その会社の理念とビジョンや組織風土や企業戦略を社員が理解し、経営から現場まで同じ方向に向かって進んでいく環境の整備です。

2.部門の階層

ここのコミュニケーションの最も重要な目的は「部門間の付加価値連鎖を強化する」ことです。全社のベクトルを揃える内容は全部門共通の抽象度が高いため、部門の階層では業務直結の具体的な内容を共有します。ただし、特定部門に閉じた内容は情報のタコツボ化が起こるので避けたいところ。業務上の関係が強い前後工程の部門とともに上位の共通目標と業務フローがスムーズになるための環境を整備します。

3.個人の階層

ここは特定シーンで個人と個人がコミュニケーションする環境整備なので、ツールを用意したら個人裁量に委ねる領域です。

以上の3階層を理解した上で、各階層のコミュニケーション内容を設計していくことが、改善の第一歩になります。

社内コミュニケーションは3階層で構成される

「InsuiteX」のコンセプト

「Insuite」とはなにか?過去の振返りとブランドの立ち位置

Insuiteブランドの立ち上げは1999年までさかのぼり、コミュニケーションツールとして老舗の部類に入ります。2005年コクヨ様の創業100年に次の100年を支える未来型ビジネスコミュニケーション基盤として採用。2005年日本郵政様は郵政民営化に伴い全国2万4千拠点、7万3千人の日本最大のネットワークを支える業務連絡の仕組みとして採用。
2011年JAL様は会社再建のための意識改革と経営改革の基盤として採用いただき、V字回復に貢献。2013年NHK様は2.5万人の全国放送局ネットワーク連携強化のための仕組みとして採用。2018年JCOM様はケーブルTVを支える1.8万人のコミュニケーション改革を取り組むパートナーとしてドリーム・アーツを採用。

一貫して大企業コミュニケーションを支えてきたのが、Insuiteブランドです。

Insuiteとは何か?

「InsuiteX」のコンセプト

そして2020年に、Insuiteから「InsuiteX」に名称を変え、新たなコンセプトと新たな機能を備え、パワーアップして生まれ変わりました。ここでは、「InsuiteX」の3つのコンセプトを紹介します。

1.意識共有プラットフォーム

コンセプトの1つ目は「意識共有プラットフォーム」です。組織全体にとっては、コミュニケーションをReデザインし、やり方(DO)とあり方(BE)の意識共有プラットフォームになります。
全社ポータルがカバーするところで、経営から現場まで情報共有を超えて意識が共有され、経営の方針が浸透し、現場の活動が見える化されている状態を作ります。

2.ビジネスコックピット

2つ目は「ビジネスコックピット」です。一人一人にとっては最高のパフォーマンスを発揮できるビジネスコックピットでEX(従業員体験)が高まります。 部門ポータルがカバーするところで、コア業務に集中できる業務連携と雑務・付随業務を縮小することがポイントです。

3.組織活性化ダッシュボード

3つ目は「組織活性化ダッシュボード」です。これはポータルを作りっぱなしではなく、本来の狙った効果が出ているのかを計測し、ポータルの改良ができるようにする管理機能です。

InsuiteXのコンセプト

意識共有プラットフォームとしての「全社ポータル」

全社 部門 個人 のベクトルを揃えるとは?

全社ポータルは全社のベクトルを揃える情報の土台として、しっかり組み立てます。ここの基礎が弱いと経営方針が浸透しなかったり、戦略と活動の関連性が薄かったりして、組織全体の足並みが揃いません。では、どのようにベクトルを合わせるのでしょうか?
どの会社にも共通する2つの構成要素として、「あり方 BE」と「やり方 DO」があります。

あり方 BE

「あり方BE」とは、その会社の理念とビジョン、その会社の提供価値と事業戦略、会社を構成する事業と組織文化など、長期視点で全体をまとめる要素です。社員は会社の理念に共感し入社し、組織文化がその会社の特徴として語り継がれます。元々他人同士の人々をあり方を通じて組織への帰属意識を持たせ一致団結し、組織の全体感を作るものです。ただしこの要素は全社員の共通認識になるように抽象度が高いため、これだけでは具体的な活動ができません。

やり方 DO

そこでもうひとつ具体的な要素として「やり方DO」が必要になります。やり方にはそれぞれの組織役割と所属する人々、各部門の戦術と活動計画、それを受けての具体的な活動とその成果など、今に集中し個々の成果を出す要素です。このやり方の個別具体的な内容は部門ポータルに譲るとして、全社ポータルにも各部門の目標と状況のサマリーなど、全社戦略と部門ごとの戦術の関連性を見える化することが大事です。

この「あり方」と「やり方」の整合性を整えるための情報コンテンツを用意し、常に共有されている状態を作り、社員のみなさんの意識のベクトルを揃えます

全社・部門・個人のベクトルを揃えるとは?

全社ポータル

全社のベクトルを合わせるための「あり方」と「やり方」の整合性を整える情報コンテンツには、外せない3つの要素があります。

1.共通の価値観

会社の理念やビジョンを皆の目につく場所に掲げ、幹部陣が経営メッセージを自分の言葉で表現します。長文で難解なものや堅苦しい表現は読まれない=浸透しないので、簡潔明瞭であることが重要です。ここでのメッセージを通して、会社として重んじる価値観や全部門に共通するあり方とやり方の軸を作り、この軸を強く太くする=継続的に発信することで、求心力経営の効果を高めていきます。

2.同一の状況認識

中長期の目指す姿として事業戦略や中期経営計画を載せる箇所がここになります。また現時点の自己評価として顧客の声や経営重要指標(KPI)を直感的な表現で見える化します。良い面だけを取り上げて偏った認識を作るようなことは、一時的な気休めにはなっても中長期では不健全な温床になるので、悪い面や未達の状態こそ積極的に見える化し、会社の等身大の姿を社員の共通認識とすることが重要です。特に変化が早い今の時代は計画通りにことが進まないのを当たり前と捉えて、試行錯誤やトライアル・アンド・エラーの実態を全社の姿勢として示し、なにかへの挑戦=失敗の許容を奨励するようなコンテンツが必要でしょう。

3.信頼と絆

社員コラムをリレー形式で書いたり、部署や活動の特集記事や社員のつぶやきを載せたりなど、社員を主役にしたコンテンツです。社員は会社の全体感と自分の活動の関連性と貢献度を常に探っています。組織の構成員であることを実感できる「信頼と絆」のコンテンツを盛り上げることで、社員の帰属意識が高まり、日々の活動にも迷いなく取り組める環境が整います。

上記3つのなかで、一番人気があるのはどのコンテンツでしょうか?
どの会社のどのポータルでも実は「信頼と絆」の社員が主役のコンテンツが一番読まれます。だからこそ全社ポータルはコンテンツのレイアウトが重要になり、下部に人気コンテンツを置くことで、上部の必ず読んで欲しい内容にも目を通すような仕掛けをします。

全社ポータル

全社員が毎日仕事始めに見る全社ポータルに、会社のあり方BE(理念やビジョンと社員の信頼)、会社のやり方DO(戦略やKPI)を一望できるように配置することで、全社員のベクトルを揃えることができるのです


今回は、「InsuiteX」のコンセプトから、組織全体の意識共有プラットフォームとしての「全社ポータル」までをご紹介しました。
後編は、一人一人が最高のパフォーマンスを発揮できるビジネスコックピットとしての「部門ポータル」や個人の成果創出についてご紹介します。ぜひご覧ください。

【後編】1日の6割が付随業務!?部門間連携と成果創出の土台づくりとは

3分でわかる「InsuiteX」

3分でわかるInsuiteX

大企業のコミュニケーション課題を「InsuiteX」でどのように解決できるのか。本記事でご紹介した内容の一部も含め、資料としてダウンロードいただけます。

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執筆者
栗木 楽(くりき らく)
株式会社ドリーム・アーツ 協創パートナー推進本部 副本部長

大企業コミュニケーションのReデザインを得意とし、数万人の企業のコミュニケーション改革プロジェクトの推進役を多数経験。お客さまプロジェクトではさまざまな部門からの多彩なメンバーと一緒に、部門間・階層間のタコツボ化解消に真正面から取り組んでいる。日本企業の底力を上げるために、実践知を活かして組織開発とITの融合でアプローチする。